インバウンド × デジタルマーケティングを学ぶ

世界中に販路を広げる「海外Webマーケティングの教科書」


Vol.3 最適なサーバーの設定

 海外向けに情報発信を行なう場合、どういったドメイン(インターネット上の“住所”)を選定するのかも重要になります。大きく分けて以下の4つの方法が考えられます。

<ドメイン選別の4つの方法>
① 海外向け情報発信専用のドメインを利用する
⇒日本語の法人ウェブサイト xxxx.co.jp に対して xxxx.com、xxxx.co.kr など
② サブドメインを利用する
⇒言語ごとに en.xxxx.com. cn.xxxx.com など
③ 同じドメインの直下でフォルダ分けをする
⇒xxxx.com/en. xxxx.com/cn/ など
④ 特定の情報発信に特化した専用のドメインを取得する
⇒cutting-machinery.com. onsen-healing.com など

 それぞれに、長所や短所がありますが、考慮すべきはSEO(検索 エンジンへの対応)とメンテナンスコストの2点です。たとえば、上記の①のように海外向け情報発信専用のドメインを利用する場合、もちろん、ドメインの取得と維持にそのぶんのコストが発生します。
    また、国別のドメインによっては、その国に法人をもたないと、取得そのものができないというケースが発生します。
   しかし、1つの言語で特定の国をターゲットにしてかなり大規模な サイト運営などを行なう場合は、①を選択するほうが望ましい場合もあります。理由は、その国、もしくはその言語固有の検索エンジンで検索した場合には、その国特有のドメインを所持していたほうが上位に表示されやすいからです。
 上記②のようにサブドメインを利用する場合、おもに同じテーマの情報を多言語で同時に発信する際に適しています。  
 たとえば、「kr.xxxx.com」は韓国語、「cn.xxxx.com」は(簡体) 中国語、「en.xxxx.com」は英語の情報で、サイト全体として発信している内容はほぼ同じテーマであるという場合です。

サブドメインを使用する利点の1つは、たとえば中国本土向けに情報発信する場合、DNS(ドメイン・ネーム・サーバー)の設定によって、簡体中国語のコンテンツだけを中国本土のサーバーに置くことができます。
そうすることで、中国政府のグレートファイアウォール(後述します)の影響を受けずに中国語の情報を発信し、なおかつその他の言語は、それぞれに適したロケーションのサーバーから情報発信することが可能になります。また、同じテーマの情報が同一ドメイン内に言語 を変えて存在することで、そのドメインに対する多言語対応検索エンジン(おもにGoogle)からの評価が上昇し、そのテーマに沿ったキーワードでの検索結果で表示順が有利に働きやすくなります。

上記の③のように、ドメイン直下のフォルダで言語を分ける方法に ついては、②のサブドメインで分ける方法とあまり大きな差はありません。強いて挙げるとすると、全言語が同じサーバー上での情報発信となるので、②と比較すると、少し言語ごとのコンテンツの規模感が 小さいサイトに適しているかもしれません。そのぶん、メンテナンスのコストは小さくて済みます。

上記④のように特定のテーマの情報発信のためにドメインを取得す るのは、ほぼSEOが目的です。④のようなドメインを選ぶ場合は、た とえば、会社概要などの情報を発信する外国語webサイトは別途で運営しているというケースが多くなります。
 

そして、会社全体のゼネラルな情報発信とは別に、とくに売り込みたい製品や技術、もしくは特定のテーマに沿った情報を網羅したサイトをもつことによって、そのテーマに合うキーワードで検索された場合に上位表示をされやすくします。  

④のケースでは、言語は英語などに絞って行ない、自社の製品だけ でなく、その分野に付随する情報を広く提供することによってアクセスを集める手法をとります。つまり、特定のテーマについてのコミュニティのような仮想空間をつくって運営することによって、世界中から関連情報を集めやすくする戦略として利用するのです。

なお、上記には挙げませんでしたが、日本企業でたまに行なわれているお勧めできない例があります。それは、日本語と外国語の情報をまったく同じフォルダで管理するやり方で、ファイル名だけ、「index_en.html」や「index_cn.html」になっているものです。これは、検索 エンジンの対応上も好ましくないうえ、web制作会社にとっての管理面も 不都合が生じやすいので避けるべきです。  

さらに悪い例としては、同じページ内に色々な言語の情報が混在しているケースを指摘しておきます。これは実際の看板などならまだしも、web上では検索エンジンに最も敬遠される手法です。当然、実際にサイトを閲覧する各国のユーザーにとっても見づらいのは言うまでもありません。